6歳からスタート!?アメリカの大学受験準備

日本人にとって、アメリカにおける進学は、日本ほど厳しくないようなイメージがあるかもしれません。アメリカの大学受験は、日本のような一斉試験で決まるのではなく、日々の学校での成績や活動で合否が決まります。では、アメリカの学生の大学受験へのストレスは、日本より少ないのでしょうか? 今回は、最近、アメリカの各地で顕著になっている、小学生から始める大学進学への取り組みをご紹介します。

小学校1年生で大学願書を記入?

ノースカロライナ州にある公立小学校、ジョンズヴィル・エレメンタリー・スクールでは、「カレッジ・プロジェクト」という授業があります。まず、まだ大学が何をする場所なのかについての知識のない6歳の生徒に「大学ってどんなところ?」「卒業すると将来何の役に立つの?」という基本情報を教えることから始めます。課題では、自分の決めた志望大学についての作文を書き、専攻したい分野と、卒業後どんな職業に就きたいのかを発表。そして、この授業用に作った「入学願書」に生徒は各自で記入し、教室に貼り出します。今年は、ハーバード大を選んだ子供も3人ほどいましたが、深刻に考えるというよりは、和気あいあいと話し合いながら志望校を決めていくという雰囲気。この授業を始めた教師は、大学は、自分の夢を叶えるための可能性を広げる場所だと、子供たちに知ってほしい、と語っています。

小学校のためのキャンパスツアー

カリフォルニア州のサンタクルーズ郡では、小学校4年生のためのキャンパス見学ツアーが、郡の教育機関によって運営されています。今年は、およそ3千名の生徒が地元の大学を訪れ、社会学などの授業を実際に受講し、一日限りのキャンパスライフを体験しました。こうした取り組みは、小学校6年生までに大学を見学し、高水準の教育とは何かを知った生徒のほうが、将来大学の卒業率が高くなる、という研究結果に基づいています。

他にも各地で見学ツアーは行われています。ノーベル賞受賞者を多数輩出している名門のメリーランド大学では、2012年から子供のためのキャンパスツアーを企画し、2013年までに8千名ほどが参加。問い合わせが殺到し、運営が追いつかないほどだといいます。

早期大学対策のメリットとデメリット

小学生の子供に、こうした大学進学への関心を持たせることは、早すぎるのでしょうか。教育のアドバイスを行う機関「アライアンス・フォー・チャイルドフッド」の創設者は「大学進学のプレッシャーをかけすぎると、いざという時期までに疲れきってしまうのではないか」と懸念しています。それに同意して、いくつかの大学では、逆に高校入学以前の生徒へのキャンパスツアーを拒否する意向を示しました。

一方で、ニューヨークの教育専門家は、子供をオリンピック選手にしたいなら、5~6歳頃から訓練を始めるのが当然だから、大学受験もそうであるべきだと主張しています。また、そのようなエリート教育の一環としてだけではなく、地域コミュニティーの活性化のために大学への関心を高める必要性があるという声も出ています。アメリカでも、日本と同じように、教育水準が高い富裕層の家庭ほど、子供の学歴も高くなる傾向にあります。中流層以下の多い地域コミュニティーでは、大学進学率を上げるために、子供の頃から大学の重要性を説くことは、効果的であると考えられています。

夢を語り合い、計画を立てる大切さ

もちろんいい大学に入りさえすれば、子供の将来が安泰になるわけではありません。過度な期待は、子供の成長の妨げになってしまいます。ただ、将来の夢について、親や教師、学校の友達と語り合うことは、子供にとって楽しいことであるはずです。その夢に向かって、具体的に計画を立てようとしていくと、大学進学についても自然に考えるようになることもあるでしょう。こうした取り組みによって生まれた大学への興味が、子供に学習の大切さを教えるきっかけとなるかもしれません。

 

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