共働きの多いフランスで見つけた嬉しい託児システム

フランスの2歳半から5歳までの子供たちは、就学前教育のための「エコール・マテルネル」に毎日通います。これは、日本でいう幼稚園のようなもので、年少組から年長組まで3段階のクラスがあります。ですが、朝8時半から夕方16時前後までクラスが続くという点が、日本の幼稚園とは違います。また、フランスのエコールでは学習項目がきちんとプラグラムされており、読み書きの練習も行なわれます。朝8時半から夕方16時までという長い時間、小さな体でがんばるフランスの子供たち。でも、共働きが多いフランスの家庭の子供たちは、その後もなお、迎えに来てくれる親たちをエコールで待ち続けることがあります。

19時までの充実した預かりシステム「ガルドリー」

週35時間労働が基本とされるフランスでも、仕事が終わるのは夕方5時半~6時半近くという親も多くいます。近くに祖父母が住んでいる家庭では、エコールが終わったらすぐに迎えに行ってもらえることもあります。もちろん、どちらかの親が働いていない場合は、親がすぐに迎えに行くことができます。でも、共働きの家庭の子供は、多くの場合、そのままエコールと同じ敷地にある「ガルドリー(託児所)」へと並んで移動します。その日にガルドリーを依頼するかどうかは、朝子供を送り届けに行く際、担任の先生に伝えます。地域によっては、エコールの終了時刻に親が迎えに来なければ、自動的にガルドリーのリストに子供の名前を加えてくれるところもあります。フランスのほとんどのガルドリーは、19時くらいまで子供を預かってくれます。ただ、子供にしてみれば、朝8時半から夜19時までずっと家ではない場所にいなければならないのですから、とても疲れてしまいます。

ガルドリーの料金は家庭の収入によって決まる

ガルドリーに一度入ると、17時~17時15分以降(地域によって異なる)にならないと、子供を迎えに行くことができなくなります。それは、ガルドリーでゆっくりとおやつを食べ、歌、本の読み聞かせ、体を使った遊びなど、ガルドリーのプログラムをきちんと享受できるようにという配慮からなのです。ガルドリーは、地域によっては無料のところがありますが、パリやパリ近郊では、家庭の収入によって決められた額を支払う必要があります。例えばパリでは、家庭の収入を8段階に分けて決めており、1週間に1回のガルドリーを利用したら、最低0.54ユーロから、最大5.67ユーロ(約70円~730円)まで、料金のバリエーションがあります。また、南西部のある市では、ガルドリーを1週間に何回利用しても、1週間1ユーロのみというところもあります。これらの料金は、主におやつの購入に充てています。以前まで、おやつは各家庭で用意するエコールがほとんどでしたが、エコールが支給するおやつを平等に食べるという方針がとられるようになりました。おやつのメニューは、マドレーヌ、フルーツジュース、コンポート(果物をシロップなどで煮込んだもの。子供のおやつ用にはチューブ式のものが主流)、フルーツ、ビスケット等、日によって変わります。

ガルドリーで子供の面倒を見る、「アニマトゥール」と呼ばれるスタッフ

ガルドリーは、エコールと同じ敷地内で行われるため、幼い子供たちにとって「知らないところに連れて行かれる」という恐怖心はないようです。ただその時間帯は、担任の先生ではなく、市に雇われた「アニマトゥール」が担当するため、少々違いも出てきます。アニマトゥールは、ガルドリーの時間に子供と一緒に遊んだり、おやつの面倒を見たりするスタッフです。「放課後」のガルドリーのみならず、昼食(カンティーヌ)の時間帯や午後のクラスが始まるまでの時間帯にも、子供たちの面倒を見ます。エコールで過ごす時間の要所要所ですでに触れ合いがあるため、放課後、親が迎えに来なくて心細いと感じる小さな子供たちでも、安心して身を任せることができます。「アニマトゥール」には、現役の大学生が多いのも特徴ですが、65歳以下で子供に関する資格を持っている人であれば応募することができます。特に多いのが、教職免許取得を目指している人が、試験勉強の合間をぬって、経験を積むためにアニマトゥールの仕事をするというケースです。どちらにせよ、子供が好きでないとなかなか続けられない仕事です。

水曜日の午後は家族の時間に!

フランスの幼い子供たちは、小さなころから大人と同じように、一定の活動時間を外で過ごさなければなりません。その代わり、水曜日だけは、午前中でエコールも終わります(※)。子供と少しでも一緒にいられるよう、水曜日の午後は勤務時間を調整している親も少なくありません。

長い長い子供の1日を見守ってくれる、エコールに密着した「ガルドリー」は、フランスの親子をそっと支えてくれています。

※今までフランスでは、水曜日はエコールがありませんでした。しかし、2013年9月から、水曜日(か土曜日のどちらか一方)の午前中だけエコールに行くことになったようです。

 

参考