オランダの世界一安全なサイクリング教育

欧州の主要都市では、環境対策や健康維持などの理由から、車依存社会の脱却を目指し、戦略的に自転車の活用を取り入れる都市計画が進められています。中でもオランダは、世界一安全に自転車が走行できる国と言われ、首都のアムステルダムでは、外出時は移動の手段に70%に自転車が使われているそうです。赤ちゃんのときから、親の運転する自転車に揺られ、4歳頃には、自転車に乗る練習を始めるのが一般的といわれるオランダのサイクリング事情を探ってみましょう。

車より自転車優先が当たり前

オランダの街では、さまざまなタイプのカラフルな自転車がよく見かけられます。子供連れの場合、日本でも見かけるような、前後の補助席に子供を乗せられるものが一般的です。さらに家庭で広く愛用されているのが 「Bakfiets (バックフィッツ)」と呼ばれる、巨大な前かごのついた自転車。そのかごには、子供2人と大きな荷物がすっぽり納まります。こうした自転車が街中を行き交っているにも関わらず、自転車での死亡事故の割合は、世界で一番少ないという統計が出ています。

その理由の第一には、自転車のためのインフラが完備されていることが挙げられます。ほとんどの主要道路に自転車専用レーンが整備されており、道は凹凸ないように舗装がされています。そして、信号機や標識も自転車と車で分かれており、自転車が優先されるようになっています。

徹底したサイクリング教育で安全運転を身に付けさせる

しかし、いくらインフラの整備だけが進んでも、肝心な自転車ドライバーが安全運転をできなければ意味がありません。オランダの子供は、幼い頃から学校や家庭で、自転車の交通ルールや乗り方を学び、中学生から通学で自転車を使うことになります。そのため12歳になる春には、自転車走行テストの受験が義務付けられています。テストは筆記試験と実地試験の2部構成。実地試験では、背中に番号の書かれたオレンジ色のユニフォームを着た子供たちが、6キロほどのルートを走行し、監視員がその運転を採点します。こうした光景は、オランダの春の風物詩となっています。

また、12歳以下の子供が安全運転を学ぶ 「トラフィック・ガーデン」というドライビングスクールもあります。スクールでは、子供たちは、自転車ドライバー、歩行者、ミニカーのドライバーの3つのチームに分けられ、それぞれの目線から交通安全を学びます。子供たちは、遊園地のゴーカートで遊ぶような感覚で、楽しみながら安全運転の重要性を知ることができるのです。

自転車選びも車のように慎重に

オランダでは、自転車は車と同等、またはそれ以上に大切に扱われています。もちろん子供に与える自転車選びにも慎重になります。特に、8歳から12歳の子供は、成長とともに運動量も多くなりますが、大人用に乗るにはまだ早いため、選ぶときに慎重さを要します。このくらいの年齢には、子供用でありながら、ある程度スピードが出て、安定感のあるスポーツタイプものが人気です。また、サイズの合わない自転車に乗ることは危険であるため、子供用自転車ブランドは、車輪サイズを豊富に揃えています。

質の良い自転車は少し割高になり、しかも子供の成長に合わせてたびたび買い替えなくてはなりません。しかし、良いものは長く持つため、オランダでは、自転車業者の買い取りや交換が一般的に広く行われています。そのため中古自転車の購入も簡単になります。こうして長く大切に自転車を使うことは、生活に根付いているのです

オランダの素敵な自転車ライフを見習おう

日本でも自転車に乗る子供は多く、小学校で自転車の安全運転の実習は行われています。ですが、まだまだオランダのように安全運転の重要性を理解させるような教育とまではいかないように思います。オランダの都市計画と教育を見本に、持続可能で快適な自転車ライフが送れるようにしたいですね。

 

 

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