子供たちの給食もオーガニックブーム

フランスの就学前教育で、2歳半から5歳までの子供たちが通う学校エコール・マテルネル。そこでは、子供たちは毎日カンティーヌ(給食)を食べますが、最近ではオーガニック食材を使った給食を出すエコール・マテルネルが増えています。

フランスのエコール・マテルネルの給食

フランスのエコール・マテルネルの開園時間は、学校によって多少違いがあるものの、朝8時半から夕方4時頃まで。11時半から12時にはカンティーヌが始まります。地域や家庭の収入によって差がありますが、1食3ユーロ前後のところが多く、当日カンティーヌを食べるかどうかを担任教諭に伝え、登録することになっています。また、両親が共働きでない場合は、親がお昼ご飯を家で作り、迎えにくることもあります。

カンティーヌに登録している子供たちは、一列に並んで食堂のある建物へ移動し、カンティーヌを食べます。メニューには、前菜、メイン、デザートがあり、毎日4皿から5皿が並びます。例えば、あるエコール・マテルネルのある日のカンティーヌを覗いてみると、シーチキン・サラダとパン、ステーク・アッシュ(ミンチ肉のステーキ)、コルジェット(ズッキーニ)、チーズ、リンゴというメニューでした。

子供の給食に、もっとオーガニック食材を

最近エコール・マテルネルでは、小さな子供たちの健康への配慮から、オーガニックの食材を使ったカンティーヌが少しずつ導入され始めています。

そもそもフランスでは、農薬を使わずに栽培されるオーガニック野菜は、健康のみならず環境にも良いということから、何年も前から推奨されてきました。そのような背景もあって、オーガニックカンティーヌが増えてきたのです。最近では、どのスーパーでもオーガニック食品のコーナーがあり、毎日使うオリーブオイルや乳製品、野菜や肉類にもオーガニックのマークが見受けられます。

ただ、オーガニック食品は、通常よりも値段が高くなるため、経済的に余裕がないと購入できないことも事実です。それでも、2013年には、95%ものフランス人がオーガニック食品を買った(少なくとも一回は)と言われており、その認知度は高く、また、重要性が大きいものと受け止められているようです。

「家庭だけでなく、子供のカンティーヌでもオーガニック食品を」。

多くの研究で、残留農薬の危険性が指摘されていることなどから、フランスでは現在、75%もの親たちがその必要性を感じているといいます。

ニーズに反し、オーガニック給食の完全導入は難しい

フランスの子供たちのカンティーヌは、インターネットを通じてその週のメニューをチェックすることができます。それを見ると、最近では、たとえオーガニック食材のカンティーヌを謳っていないエコール・マテルネルであっても、ヨーグルトだけはオーガニックを使っているケースが増えていることがわかります。

オーガニック食材導入へのニーズは年々増しているものの、普通の食材よりコストがかかるという問題があり、また、新鮮なオーガニック食材を一定量確保するのが難しいという問題もあります。そのため、100%オーガニック食材を使って、何食分もの給食を毎日準備するのは、まだレアなケースだといえます。

100%オーガニック給食に成功したエコール・マテルネルも

そんななか、実際にオーガニック食材だけで、カンティーヌを作ることに成功したエコール・マテルネルもあります。フランス南東部に位置するムアン=サルトゥという市のエコール・マテルネルでは、2012年から100%オーガニック食材を導入したカンティーヌを、1日1200食分提供し続け、2013年には「色褪せることのない学校給食」の名目で、「Trophées Eco Action」という賞を授与されています。

今では、地元にカンティーヌ用のオーガニック農園や栽培地を割り当て、格安でオーガニックカンティーヌを提供しています。しかし、ここに至るまでには、長い年月がかかっていることを忘れてはなりません。

その試みの発端は1999年にまでさかのぼり、まずはオーガニック牛肉を導入することから始まりました。2008年にはオーガニックパンを取り入れ、2009年にはりんご、サラダ、乳製品を、2010年にはじゃがいも、にんじん、パスタ、シリアル、コンポート(果物をシロップなどで煮たもの)をオーガニック食品に切り替えています。2011年にはさらに給食全体のオーガニック率が上がり、ついに2012年、100%オーガニックを実現したのです。また、カンティーヌの料金も、家庭の収入に比例させるなどの工夫をし、貧しい家庭にも、負担にならないような仕組みを導入しています。

毎日子供が食べるものだからこそ、オーガニック給食へのニーズが高まるのは当然です。フランスでのオーガニック給食の今後の展開は、見逃せません。

 

 

参考