オーストラリア 段ボールで組み立てるダイナミックな遊具

オーストラリアの中でもトップクラスを誇るモナッシュ大学の建築学科では、毎年一学期の初めにユニークなプロジェクトが始まります。学生たちに与えられる課題は、段ボール素材を使って、子どもが遊び回ることのできる大型遊具を制作すること。完成品は、メルボルン市が運営する子どものアート施設「アートプレイ」で展示され、実際に子どもたちの遊び場として公開されます。

大人が見ても美しいと感じるモダンなデザインでありながら、子どもの想像力を高める工夫がたくさん詰まった未来型の遊具をご紹介します。

段ボールの魅力を生かしたデザイン

遊具作りに利用されるのは、40センチ×120センチの段ボール紙。制作条件は「積み重ねる」「折り曲げる」「連結させる」「骨組みを作る」といった技術のみでできる、プレハブ式で組み立てが可能な簡単な設計であること。再利用を可能にするため、接着剤は使わず、接合部分は取り外せるようにしなくてはなりません。遊具の対象年齢は5~8歳。学生たちは、7つのチームにわかれて、それぞれの作品制作に取り組みます。

多様な遊び方を提案し好奇心を養う

完成された7つの遊具は、高さがおよそ3メートルもあるジャングルジムや、数人の子どもが実際に入ることのできるドールハウスなど、さまざまです。どれも子どもがいろいろな楽しみ方ができるよう趣向が凝らされているのです。

例えば、ジャングルジムのような遊具は、よじ登ったり、くぐり抜けたり、子どもたちは自由に動き回れます。金属や木のように重い素材ではなく、段ボールのような軽い素材なので、子どもは恐怖心を覚えず、思いっきり冒険を楽しむことができるでしょう。

また、中に入って読書やお絵描きができる、秘密基地のようなものもあります。椅子も机も、もちろんすべてが段ボールで、部屋の中のいたる所に自由に絵を描けることも魅力です。

好奇心から創作力へ

子どもは遊びながら、段ボールが切り貼り自在で、いろいろな形を造りあげることのできる素材だということを知っていきます。この遊具を展示している施設では、段ボールを使った工作ワークショップも定期的に開催され、高まった子どもの好奇心をそのまま、創作意欲へとつなげる工夫がされています。段ボールでオリジナルの作品を制作する小さなアーティストは、まるで未来の建築家さながらです。

持続的なコミュニティの広がり

作品完成後も、学生たちは時折メンテナンスに訪れ、子どもたちがどのように遊んでいるのかを観察し続けます。こうした経験から、建築物の耐久性を確認し、想定していなかったことにも気づくなど、より深い洞察力が養われます。子どもが遊びながら学んでいく間に、学生もまた子どもから学んでいるという相互関係ができあがっているのです。

市の施設での遊具の展示は、5週間ほどでいったん終了しますが、解体された作品は、近隣のいくつかの小学校に移動して再利用される仕組みになっています。こうしたコミュニティの広がりは、軽くて持ち運びも簡単な段ボールの遊具だからこそ生まれたものと言えるでしょう。これから、メルボルンのユニークなボールの遊び場が世界に広がっていくかもしれません。

写真提供:Christine Francis

 

参考:

Card Play Space

Christine Francis ウェブサイト

TOT: HOT OR NOT Card Art Spaces, ArtPlay