温もりあふれる木のおもちゃがフランスで愛される理由

フランスのおもちゃ屋さんに入ると、木の温もりを感じられるおもちゃがずらりと並んでいます。ハーモニカや打楽器、ペダルのない自転車、おままごとセットやキッチンセット、人形の家や電車のレール……。色彩鮮やかでデザインも素敵な木のおもちゃは、子どもだけでなく親の心もわしづかみにしてしまうものです。そのため、値段が少々高くても、子どもが欲しそうな素振りを見せれば、買ってあげたくなるということも多いようです。

子どもの五感を目覚めさせてくれる木のおもちゃ

最近フランスでは、木のおもちゃがますますブームの傾向にあるといいます。その理由としては、木のおもちゃには個体としての重さがあり、手に触れた感触が自然な柔らかみを感じさせてくれる、ということが挙げられるでしょう。そしてまた、小さな頃から使うことで、子どもの五感が目覚めるともいわれています。

例えば、あるキッチンセットには、木でできたトマトやじゃがいもなどがついています。これらは、あらかじめいくつかの欠片になるように切ってあり、その欠片同士をマジックテープでつなぐと、ひとつの野菜の形になります。そのつなぎ目におもちゃの包丁を入れ、力を加えながら切って遊ぶのです。その際に響く、コトンという音や、木が与える程よい重量感は、子どもの五感を鍛えてくれることでしょう。

また、木のおもちゃにはもうひとつ、天然素材ならではの良い点があります。湿気が多いと膨らんだりするため、生きた木が呼吸する感覚を間近で体感できるのです。幼児の頃から、このように温かみのある素材や、確かな重さが感じられるもので遊ぶのは、とても大切なことです。木のおもちゃで遊ぶことは、五感の発達のみならず情操教育にも役立つと考えられています。

 

温かい記憶とともに、次世代へと受け継がれる

さらに、木のおもちゃは頑丈で長く保存できるため、次世代に引き継いでいくこともできます。温かみがあり捨てがたい素材なので、長く大切に使いたくなるものです。そのため、使わなくなったら捨てる、というサイクルが発生しにくく、次のもらい手に渡るまで長く使われ続けます。また、保管しておいたものを大人になってから取り出して眺めると、子どもの頃の楽しい記憶が蘇るため、フランスの学校や老人ホームでは、記憶を刺激する木製玩具として使われているといいます。木のおもちゃは、子どものみならず、お年寄りの五感を刺激する役割も担っているようです。

 

環境や体に優しい点も選ばれる理由

一方、木のおもちゃが好まれる別の理由として、環境と体に優しいという点が挙げられています。近年、食べ物から化粧品、衣服にいたるまでオーガニック商品がすっかり定着しつつあるフランスでは、環境に優しいものを好む傾向があります。環境に配慮した木製のおもちゃは、そんな現代に生きる親の購買意欲を促すものとなっています。

 

職人の手仕事を好むフランス人

木のおもちゃの人気が高まってきた最後の理由として、フランスでは、手づくりのものが好まれるというのが挙げられます。大量生産されたものを消費することに慣れてきた現代のフランス人は、「アルチザナル」といわれる、職人の手仕事へのリスペクトを取り戻しつつあります。自国の文化を愛する国民が多いフランスでは、輸入された安価なものよりも、少々高価でも国産のものを愛する人は多いのです。それは、おもちゃひとつをとっても同じこと。一点一点丁寧に手で作られた、魂を感じさせてくれるようなおもちゃを子どもに与えたいと思うのです。

色づかいも優しく、手で触れた感触もどこか温かい。そんな木のおもちゃがフランスで多く求められる背景には、情操教育や環境、健康への配慮、そして、手づくりのものへのこだわりなど、国民性がにじみ出るような理由があったのです。

 

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